どれくらいあるか分からないリスクはリスクじゃない。アメリカの景気後退が明白なことがリスクなのだ。
前回のつづき。サブプライムをこれほど問題視する理由は、アメリカ経済の景気後退を如実に現しているからだ。
アメリカの金融機関は、住宅のバブルがはじけると、ノンリコースでもあり、不良債権を直接金融機関がかぶることになる。それによる影響が大きい。サブプライムは、その氷山の一角でしかない。
「買う」と「売り」は同じ(これは本当に大事)だから、「売れている」は「買っている」なのだ。
「住宅Aを買う」→「利益を載せて住宅Aを売る」→「高くなった住宅Aを買う」→「さらに利益を載せて住宅Aを売る」→「さらに価格が上がった住宅Aを買う」→…
という流れを見れば、「住宅A」には何の付加価値も付いていない。ただ、転売しているだけだ。
それで、サブプライムに手を出す流れ、買い手を作る流れを見てみよう
アミーさん:今の家を売る→住宅Aを買う→利益を載せて住宅Aを売る→さらに高い住宅Bを買う→利益を載せて住宅Bを売る
イミーさん:今の家を売る→アミーさんの家を買う→利益を載せてアミーさんの家を売る→高い住宅Aを買う→…
ウミーさん:今の家を売る→イミーさんの家を買う→利益を載せてイミーさんの家を売る→高いアミーさんの家を買う→…
エミーさん:今の家を売る→ウミーさんの家を買う→利益を載せてウミーさんの家を売る→高いイミーさんの家を買う→…
オミーさん:今の家を売る→エミーさんの家を買う→利益を載せてエミーさんの家を売る→高いウミーさんの家を買う→…
と、どんどん順繰りになっている。もちろん中古住宅だけではないが、更地にして家を建てるのも同じだ。
そして、家の値段がドンドン上がっていることが分かる。そして買い手を作らないと行き詰る。
家の価値は何も変わっていないことに注意。なにも付加価値が無いのだ。
ウミーさんの家が売れなかったら、ウミーさんは高い家を買ったので、破綻する。
ウミーさんが破綻したらイミーさんが、イミーさんが破綻したらアミーさんが破綻する。
単純化しているが、実態とそう変わらない。アメリカはノンリコースなので金融機関が困るのと、売り手と買い手が、個人、法人、ファンドなど色々増えるだけだ。
今回のサブプライムローンは、家を売った利益を証券を買った人に分配する証券化、つまり皆でお金を出し合って不動産に投資して儲けも分け合いましょう、とやっているのだ。
分散していろいろな人が買うから、リスクがわかりにくいのだ。でも細かく分かれているなら、たいしたこと無いよね。
だから、サブプラムローンの問題は、住宅の買い手をムリヤリ作り出している末期症状を示しているのだ。
そして、サブプライムを借りている人たちは、10セント時給が違うだけで転職するほど、流動性が高い。失業のリスクが高い。
じゃあ、どうするか?
原則として、経済は、上がれば下がる、下がれば上がる、その繰り返しだ。だから住宅価格が下がることになる。
日本だと、高く家を買った人は、ローンで苦労する。
しかし、アメリカはノンリコースだから金融機関が不良債権を抱えて破綻する。
なので、価格が下がって損失した分のお金を、中央銀行が補填して、金融機関の帳尻を合わせているのだ。
でもそれってお金の水増しだよ。世の中のお金の量が不自然に増えるので、関係ない物価も上がってしまう。
ということは、金融機関の再編だ。図体を大きくして不良資産に耐えるか、誰かに買ってもらい、そのお金で帳尻を合わせる。日本と同じだね。
アメリカ経済は、付加価値をつけず、転売することでお金を生み出す、金融主体の経済になっており、その行き詰まりが見えてきている。
そして、小泉・竹中両氏が目指したのも、この方向だということ。これが大事。
ちょうど、製造業生み出した終身雇用が崩壊し、産業・雇用の転換が起こっていることと、一致するのだ。